ムスリムNGOが洪水被害に遭ったヒンドゥー教寺院を復旧!
- 新井康平
- 2015年12月13日
- 読了時間: 2分
10月末から12月初にかけて、南インド、チェンナイ市では、100年に1度と言われる大雨の影響で大洪水が起こりました。月間降雨量(11月)は毎年平均の3倍を記録し、5万件以上の家が被災しています。
このような状況の中、インド英字紙「ザ・ヒンドゥ」で、あるムスリムNGO団体のチェンナイでの活動が取り上げられました。
12月9日THE HINDU “Muslim group cleans flood-hit temples”
日本語訳(一部省略)
NGO団体「ジャマート・イ・イスラミ・ヒンド」の50人のメンバーは、市内の洪水被害地域の寺院やモスクを黙々と清掃している。彼らは2日間で、市内2拠点(コタープラン、サイダペット)において2寺院を細心の注意を払い清掃した。
NGOメンバーで、大学院生のピア・ムハンマド氏はこう語る。「一部の地域のヒンドゥー教徒は、洪水被害の影響で寺院を参拝することができない。そのため、私たちは、深刻な被害を受けたモスク、寺院、街を復旧している。この先、市内の別の地域においてもこの活動をする予定だ。」「清掃には周囲の人々が協力してくれ、またこの活動をとても喜んでくれている。」
ジャマート・イ・イスラミ・ヒンドの活動には、イスラム社会の発展・保護活動を主軸として様々なものがありますが、中でも目を引くのが社会貢献活動です。
今回のような活動以外にも、ムスリムの女性の社会進出を促すために、イスラム法の元に保障される権利を啓発したり、女性の一般的地位に関する討論を主催しています。
団体の方針の一つとして、「人々が個々の主義主張を持って活動するためには、階級や信条に関係なく人々が連携することが大切だ」というものがあります。
そのような精神が今回の寺院の清掃活動に反映されているのでしょう。
インドでは近年、「ガル・ワプスィ」と呼ばれる事実上の異教徒のヒンドゥー教への強制改宗運動が起こるなど、宗教、民族間の対立が激しくなりつつあります。14年に就任したモディ首相がヒンドゥー至上主義者であるという懸念の声も上がっています。
このような対立は国の長い歴史とも繋がっているため、簡単に解決できる問題ではありません。
しかし、人々の心がけとして、互いの信条、民族などの違いに注目するのではなく、人間として一つの教えを信じる身だというような共通点を大切にすることで、
困った時にお互いを助け合えるような、温かい関係を築けるのではないでしょうか。

写真:南インドに降る雨の様子
【参考サイト】
the hindu Muslim group cleans flood-hit temples
http://www.thehindu.com/todays-paper/tp-national/tp-tamilnadu/muslim-group-cleans-floodhit-temples/article7963357.ece
jamaat-e-isrami hind HP
http://jamaateislamihind.org/eng/
the hindu Jamaat-e-Islami Hind organises convention
http://www.thehindu.com/todays-paper/tp-national/tp-karnataka/jamaateislami-hind-organises-convention/article5488599.ece
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